第2話 〜 リツコ、暴発!(後編)
作 / Sa−toshi ・ 画 / 森里 涼


 新湯河原のリツコのマンションに招かれたシンジは重たい玄関ドアを半開きにして少し躊躇したが、彼女に促されて室内に足を踏み入れる。

「さ、上がって」
「お邪魔します」
「靴はそのまま、気になるんだったら居間の前で内履に替えてね」

 リツコの部屋は玄関から続く各部屋に暗い感じの赤いカーペットが敷き詰められていて、土足のまま移動する純洋風スタイルだった。シンジは玄関マットで丁寧に靴底を擦ってから、リツコの後ろに続いて居間に移動した。そして居間の入り口でよりくつろげるように軽いサンダルのような内履に履き替えると、ムーディな照明に照らされた辺りを見回す。室内は黒を基調にした調度と細かい模様の入った褐色系のクロスという高級ホテルのような落ち着いた空間だった。居間には皮製の長椅子と木製ローテーブル、壁際には大型のモニターを中心にしたAVセットと映像・音響ソフトらしきディスクを多数収めたキャビネットがあり、半開きの電動ブラインドが降りたバルコニーの窓越しには木々の間から湯河原沖の航路標識灯が闇夜に点滅を繰り返しているのが見える。

「これは?」

 長椅子に通学鞄と着替えを入れた小さな雑嚢を置いたシンジは、キャビネットの一角に中世の名画をモチーフにあしらった厚紙で出来ているカラージャケットを表にして立てかけられているものに目が止まった。

「見たことない?それがレコードよ」

 シンジもアナログレコードのことは伝聞で知ってはいたが実物を見たのは始めてだった。手荷物を自室に置き、居間とはカウンターで隔てられたキッチンで食事の材料などを用意していたスーツ姿のままのリツコがその手を休めてシンジの脇にくると指先で眼鏡のズレを直しながら、一番上にあるレコードをキャビネットから取り出してプレーヤーにセットしてみせる。

「ほとんどクラシックばかりで母が集めたものなの、幸いセカンドインパクトの混乱から免れて生き残った貴重品よ」

 セカンドインパクト以前には根強い人気でデジタル化の波の中を生き伸びたレコードも、気候変動や地域紛争、伝染病の蔓延といった混乱による人類の危機を潜り抜けたものは少なく、かろうじて高級な収集対象としてのみ生き残っていた。

「…」

 キャビネット脇に立つシンジの隣で上体を屈めてレコードをセットするリツコのうなじの白さに横目で見入るシンジ。アンプに火を入れたリツコはそれを知ってか知らずか、片手で後髪をフサッとかき上げた。ほのかな髪の甘い香りがシンジの鼻孔をくすぐる。壁の両端に置かれたスピーカーから静かな弦楽協奏曲の調べが奏でられ始めるとチェロを嗜むシンジは興味深く耳を傾けた。その曲は以前に学校の音楽の授業で聞いたような気もするが、かすかなノイズを伴いながら白熱灯の室内照明に照らされたホテルのようなリツコの居間で聞くクラシックは、厚みのある音で初めてリツコの部屋を訪れたシンジの緊張感を解いていく。短い楽章がひとつ終わるまで聞いたところで電子ブザーの音が鳴った。給湯システムが浴槽を湯で満たしたことを告げたらしい。

「さ、シンジ君、先にお風呂に入ってらっしゃい」
「すみません、お先に失礼します」
「お風呂場は玄関の横を入ったところだから」

 リツコの言葉に甘えて、シンジは着替えを入れた小さな雑嚢を持つとサニタリールームに入った。脱衣所は広くて洗濯ユニットなども置かれているが、あまり使われていないのかカバーが掛けられている。洗面台の水周りなどもマンションの築年数に比較してほとんど傷みがない。どの部屋にも物が散らばっていたり、収納し切れない雑貨の箱が積まれていたり、脱いだ服が放ってあったりするミサトの部屋とは大違いだが、普段からあまり使われていないリツコの部屋からは生活の臭いが感じられなかった。

「あ、」

 既に脱衣カゴには大小のタオルやドライヤーなどがきちんと用意してある。シンジはリツコの細やかさに感心した。ミサトだったらこんなに手回し良く用意などしないだろう。もっとも、中学生だとはいえ男性のシンジに勝手にあちこち掻き回されるのを避けるための慎重な配慮でもあるのだが。

「うわー」

 服を脱いで風呂場に入ったシンジは思わずうなった。ユニットバスではない広い浴室は温泉ホテルのように黒い大理石が敷かれ、浴槽はジェットバスがしつらえられている。シャワーで体を洗い、浴槽に浸かったシンジは足も伸ばせる程広い浴槽ですっかりくつろいで思わず長湯をしてしまった。

「シンジくーん!」

 リツコが擦りガラスの浴室ドアをノックして少し開いた隙間から覗き込むそぶりをすると、ハッと我に返ったシンジは慌てて浴槽の中で下半身を両手で覆った。

「ノボせちゃったの?」
「いえ、大丈夫です!」

 湯気でリツコの表情まではわからなかったが、シンジは思わず気恥ずかしさに赤くなった。

■■■

 シンジが風呂から上がりパジャマに着替えて居間に戻ってくると、髪止めで両耳から後を止めて眼鏡を外し、シャツブラウスとジーンズに着替えたリツコが胸当てのある大きなエプロンを付けて食事の準備をしていた。キッチンもカウンターもスポット照明を多用していて、安っぽい蛍光燈の光とは違い高級感が漂う。そしてレンジグリルの中で焼かれている肉の油が弾ける音と煮立てられているスープの匂い、そして料理の放つ匂いとはちがう何か香料のようなかすかな匂いが、長湯で少しのぼせているシンジを迎えた。

「シンジ君、肉は食べられる?」
「はい!肉でも魚でも、リツコさんの作ってくれるものなら何でも」
「言うわねぇ、女性って露骨に容姿や化粧を誉められるより、手料理誉められる方がうれしいのよ」
「ミサトさんと同居させてもらってる間、こういうの無かったですから」
「そっか、じゃあシンジ君は料理にはうるさいかもしれないわね」
「いえ、絶対にリツコさんの料理は美味しいに決まってます!」
 晩餐と呼んでもシンジには差し支えないほどの食事の用意を目の前にして嬉々とするシンジ。
「悪いけど先にお風呂にしちゃうから、肉が焼けたらセッティングお願いしてもいい?」
「ちゃんと用意して置きますから」
「冷蔵庫にワインがあるんだけど、それもお願い出来る?」
「はい」

 キッチンから出てリツコはエプロンを外すと、シンジを気にすることもなくシャツブラウスのボタンを外しながら風呂場に行った。その時一瞬、胸元から両方のふくらみを押し上げているブラジャーがチラリとシンジの目に入った。シンジは邪念を払うように頭を左右に振り回したが、風呂から上がって居間に戻って来て以来匂う焼けた肉でもスープでもない何かわからない香料のような香りにダブって思い浮かんでくる、車中での他愛もない会話やレコードをセットする時に見た彼女の白いうなじが気になって仕方がなかった。本当に風呂でノボせてしまって余計なことを考えてしまうのか、それとも…。

「リツコさんから見ると、僕はまだ子供なのかな…」

 その時レンジの中の肉の焼け上がりを知らせるベルが鳴った。シンジは自分の握り拳で頭をコツンと叩くと夕食のセッティングを始めようとしてキッチンに入り、カウンターの片隅に丸めて置かれている先程までリツコが付けていたエプロンを取って身に付けながら、その匂いを嗅いでみた。洗い立ての洗濯物の匂いと彼女の付けている香水の薄い移り香が彼の胸の奥から頭の中に広がると、せつなさに下腹部が疼き出す。それはまるでミサトの下着に我を忘れた時と同じだった。が、鍋のスープが噴きこぼれる派手な音に口元に掴んだエプロンを放したシンジは煩悩を押し止めて、カウンターに出された食器を並べ料理を取り分ける準備を始めた。

「ここはリツコさんのウチなんだぞ!」

 シンジは独り言で自らを叱りつけた。オーブンレンジから肉を取り出して大皿に取り、冷蔵庫から野菜の盛り合わせられたサラダボウルとワインを取り出し、カウンターの上に食器のセッティングをあらかた済ませた頃、リツコが風呂から上がって来て食卓の準備を整えたシンジを誉めそやした。

「こんなもんでいいですか」
「さすが、葛城家の専属シェフ兼ウェイターだけのことはあるわね」

 風呂上がりのリツコはほんのり上気した薄桃色の肌の上に、やはり淡いピンクの薄手のタオル地のバスローブを身につけていた。スポット照明のせいで首周りから鎖骨の付近の影が目立ち、また彼女が動く度にその裾が割れて膝から下の生足が覗く。

「すごく、お腹空いちゃって」

 シンジは余計な事を考えまいと食欲に専念することに神経を集中させた。リツコはワイングラスをふたつ取り出してひとつをシンジの前に置く。

「ちょっとだけならいいでしょ」
「あ、…はい」

 ふざけてミサトにビールを少しだけ飲まされたことはあるが、こうして食事時にきちんとアルコールを口にするのはシンジにとって初めてだった。

「じゃ、お疲れ様」
「どうも」

 赤ワインを注がれたグラスを軽く鳴らして、2人は食事を始める。シンジは1杯目をグイッと一気に空けてしまうと軽い酔いが回り始めて、体が軽くなったような感覚に囚われた。ワインの味はよくわからなかったが、いままで食べた食事の中では一番美味しいと思えた。リツコも久々に誰かと一緒に自宅で食事をしたせいで会話が弾む。

「これで喜んでいるなんて、ミサトも保護者気取ってる割にはロクな生活させてないわね」
「ミサトさん、ツマミとビールさえあれば生きて行けるって言ってますから」
「中学生がそれ真に受けちゃダメよ、将来半分捨てるようなものだから」
「ははっ、大丈夫です、反面教師にしてますから」
「言うわね、シンジ君も」

 満ち足りた食事と2杯3杯と調子に乗って飲んでしまったアルコールのせいでシンジはすっかりご機嫌になっていた。

「でも、シンジ君も年上の女性と一緒に暮して、いろいろあるんじゃないの?」
「やだなァリツコさん、何言わせたいんです?」
「やっぱり私やミサトくらいの歳じゃ、興味の対象にならないの?」
「き、興味だなんて、でもリツコさんはキレイです」
「どんなふうに?」
「どんなって、えーと…」

 リツコに誘導尋問されるシンジは食事の手を止めて、リツコの表情をジッと見る。フッと鼻を鳴らし頬杖をついて、悪戯っぽく彼を見つめるリツコ。

「全部…」
「全部じゃわからないわ」
「だって…」
「一緒にお風呂に入れば教えてくれた?」
「やだなぁ、からかわないで下さいよぉ、リツコさんたら!」
「赤くなった!まじめそうに見えても結構エッチなんだ、シンジ君は」

■■■

 いいようにリツコに遊ばれながら、シンジにとっても満ち足りた2人での食事はそうこうしながらも終わった。後を片付けてから客間に通されたシンジは翌日の登校の準備をして半時程で簡単な宿題を済ませると洗面所で歯を磨き、そろそろ寝ようかとリツコに挨拶をするため灯りの消えた暗い玄関前の通路に出たところでリツコの声に呼び止められた。

「シンジ君」
「リツコさん、な、何ですか?」

 立ち止まったシンジは暗闇の中で瞼の上から頭の後ろを何かの布で結わえられて、目隠しをされるのがわかると不安になった。

「大丈夫よ、寝る前にちょっとだけゲームに付き合って」
「ゲーム?」

 シンジはリツコに手に引かれて歩き、どこかの部屋の中に入った。薄明かりが差していること以外、周囲の状況はシンジにはよくわからない。そしてキッチンで嗅いだ料理とは違う香料のような匂いが、ここでははっきりと嗅覚に感じ取れる。リツコは更にそこでシンジの両手を後ろ手にして縛った。

「ゲームって、何をするんですか」
「シンジ君は、言う通りにすればいいのよ」

 初めてのワインのせいなのか、それともこの匂いのせいなのか、段々体に気だるさを覚えるシンジ。側にいるはずのリツコの声が頭の奥の霧の中から聞こえるような気がする。心臓の鼓動の音が耳の奥にバクバクと響く。

「シンジ君はいい子ね、言う事は何でもよく聞くのね」
「はい…」

 視界と両手の自由を奪われたシンジは、しかしリツコの低く妖しい声の響きに次第に不安感を忘れ、ぼんやりとした安堵感すら感じていた。そして彼女の声に反応することに何の疑問も湧かなかった。

「少しだけ屈んで」

 しっとりと落ち着いたリツコの声のとおりにシンジはその場に立った少し屈む。

「そう、そのままゆっくりと顔を前に出して」

 そのまま顔を前に傾けると、シンジの鼻面をナマ温かくて柔らかいものが塞いだ。そしてちょうど閉じた唇のあたりに少し硬いゴムのような弾力を持つ大きな突起が当たる。それはリツコの胸のふくらみと頂上の尖り…。

「?!」

 シンジの脳裏の僅かな戸惑いが彼の動作を止めたが、リツコは一層艶っぽい湿った声で命令を続けた。

「ゆっくりと、唇で含んで…」

 僅かな戸惑いに動作の再開は一瞬遅れたが、気だるさに支配された頭の中に聞こえるリツコの優しい声にどうしても逆らうことが出来ないシンジ。否、それどころか安堵を感じるその声で、もっと命じて欲しいとすら思い始めている。そして顔面を押し当てるとムッチリと押し返してくる柔らかさと、唇の間で硬さを増してくるモノ。彼の中にミサトとの一夜で味わった官能が膨らんでくる。

「そう、シャぶってちょうだい…」

 魅入るようなリツコの声にシンジは下腹部の分身がゆっくり身をもたげるのを感じながら、ミサトの膨張しきった風船のような十分な弾力で押し返してくるボリュームとは違う、掌で暖められて緩んだ粘土か捏ね上げたパン生地のように柔らかいふくらみの中心を唇で挟み、唾液で湿らせた舌を下から何度も舐めつけてから口の中にふくらみごと頬張って吸った。

「はぁ、ううッ…」

 リツコの呼吸が荒くなり、小さなうめきが彼女の口から漏れ始める。シンジは細く尖った乳首から唇を離してふくらみの周囲にゆっくりと頬を押し付けてから、反対側の乳房と乳首を同じように唇と舌で愛撫した。

「あン、ちゃんと命令に従わなくちゃダメょ…」

 先に愛撫を進められて甘い声で叱るリツコだが、自ら視野を封じられて不自由なシンジの動きを助けるように両腕をすぼめてふくらみを彼の顔面に突き出すように上体を動かす。

「そのまま、ゆっくり顔を降ろしてちょうだい」

 リツコのして欲しいことはシンジにもわかっていた。(ミサトさんの時と同じようにすれば気持ちがいいんだ…)さらに彼の頭の中では押さえ付けているもうひとつの自我が、自らを解放したいという欲求を声高に訴え始める。その欲求に動作を支配されていくシンジは、舌を彼女の乳房からアバラの下を経て臍に這わせる。リツコの軽いうめきが聞こえ荒い呼吸に合わせて腹筋がウネるのを唇に感じたシンジは、さらに顔を下腹部のスロープにそってゆっくりと降ろす。顎の先にモゾモゾとした恥丘に生える芝生の感触を得た彼が、そこから少し顔を離してゆっくりと息をその下の辺りに吹きかける。

「うぅん…いじわるね、ジラしたりして」

 リツコは甘ったれた口調で言いながら、思わずシンジの頭髪を両手でやさしく掴み、自分から愛撫をして欲しい芝生の下の窪みに誘導する。体温と共に立ち上るおんなの匂いが彼の嗅覚をつくと、シンジはミサトの時のように唾液で湿らせた舌先を窪みの中に潜らせ、窪みの端のコリコリと硬化した小粒を突付く。窪みの内側は彼女の体から溢れ始めたもので既にヌルヌルとしている。

「じっくり舐めるのよ」

 シンジはパジャマの中で完全に起立した分身が圧迫されて焦れるのを気にして腰を引きながら両膝を床に突くと、舌の表面でそのヌルんだ窪みの表面を舐めつける。そして舌の表面に湛えたままで彼女の片足の内股の柔らかいところを膝まで舐め降ろした。リツコはベッドランプの薄明かりの中で己の下腹部の下に這いつくばりながら奉仕をする少年の姿に優越感を覚えた。

「さぁ、もっと気持ち良くしてちょうだい…」

 命令に素直に従いひたむきにリツコを満足させようと動くシンジと彼女を辱める男のイメージが重なる。男を知らぬ身で配属された無垢な自分の体を調教し支配した、地底の城郭の最高権力者の息子にこんな命令が出来る機会が来るなんて。リツコは両膝を開いてシンジの前に、内股の奥の女芯を曝け出した。

■■■

 リツコのベッドルーム。壁に埋め込まれたナイトランプの琥珀色に照らし出され、ベッドの宮台の上で炊かれた邪香の匂い漂う幻想的な光と影の中。リツコは再び両手で視界と両手の自由を奪われたシンジの頭をやさしく掴むと、窪みにその顔を埋めさせた。ワインと邪香に酔ったシンジの体の中では、もうひとりの彼がリツコの声に導き出されて本能の赴くままに彼の行動を支配する。既に気弱で正直なリツコの知る少年でなくなっていることに、自身が状況に溺れ始めている彼女は気付かない。

「リツコさんの匂いだね」

 シンジはもはやためらうことなく鼻先で小さく膨らんだ女芯の上にある粒をクリクリと押し回し、唇の回りを唾液と彼女から溢れるものでベトベトにしながら、窪みに吸い付いて縦横に舌を動かして2枚の内扉の奥までも掻き出そうとする。

「あぁッ!いいわッ、何て子なのキミは…」
「ここから溢れているんだ」

 シンジが頭を彼女の股間の真下に入れて直上に首を曲げ、舌先を後の菊門近くから会陰に伸ばしてから芯の中に差し入れると、リツコは堪らずに腰を上下に揺すってうめく。シンジが反動で後ろに倒れると、リツコもバランスを失って後ろに下がり、端からベッドの上に大股を開いたまま仰向けに倒れ込んだ。

「リツコさん…」

 倒れた拍子に目隠しの外れたシンジは薄明かりの中でベッドの上にシルエットを作るリツコの姿を、ボンヤリと霞んだ視界に捉えている。彼女の開かれた両膝の中は影の中で見えないがシンジの鼻や口の回りにまとわりつくモノの匂いが、その影の中のリツコ自身の存在を教えた。

「ダメ、動かないで!そのままそこで見ているのよ」

 膝立ちでゆっくりとベッドに近寄ろうとしたシンジを彼女はきつい口調で制止した。中腰で後ろ手に縛られたままのシンジが彼女の声にピタリと止まると、リツコは十分に潤ったそこを左手で更に開き、右手の指で敏感な粒から芯の回りをなぞり始める。

「いい気持ちだわ、シンジ君の素敵な前戯のおかげでこんなになってる…」

 粘りつくような挑発的な声で言いながら、リツコは左手の指先で窪みを両側から閉じたり開いたりさせつつ右手の2本の指を芯に抜き差しすると、そこはニチャニチャと粘っこい音を発して彼女自身を快楽の壷の中に捉える。

「あッ!ああん、はぁァァっ!」

 上体を仰け反らせながらシンジの眼前で自慰に耽るリツコ。シンジは思わずベッドの端にニジり寄るが、気付いたリツコは片足で彼の肩口を蹴っ飛ばす。シンジはまた後ろから床に倒れた。

「いい、イイッ!」

 股間を膨らませながら、為すすべもなく脅え請うような表情で熱く潤んだ両目をリツコの体に釘付けにするシンジの前でリツコは、軽い絶頂の予兆に両足を突っ張って小刻みに体を震わせる。

「あぁッ、もっと!」

 だが、彼女の期待する絶頂にはなかなか達することが出来ない。こんなはずではないのに…ふと枕元の宮台の棚の中にある彼女の母親が、もうひとり男と写った小さなフォトスタンドの写真を仰向けのまま上目に見やるリツコ。

(悔しい!母さんの心ばかりか私の体まで奪った、あの男の息子に目の前でお預けを食わせてやっているのにイクことが出来ないなんて…)

 彼女はすっかり溢れて後ろの門まで濡らしている淫らな窪みに、床に腰を落としたまま見つめているシンジの視線を強く感じた。そして彼のパジャマの股間が薄明かりに影を作って見事に盛り上がりピクピクと脈打っているのに気付くと、彼女の体は嫌らしいあの男のモノを思い起こしてとめどなくダラダラとヨガリ汁を噴き出す。達することが出来ない不満を訴える淫らな彼女の体が、まだ若いあの男の息子の分身に勝手に思いを馳せる。

(駄目よリツコ!彼はあの男の息子なのよ)

 だが、歪んだ復讐をもくろんだリツコは、火のついてしまった自分自身の欲望に負けた。彼女の女芯が目の前にある若く太いモノをネジ込んで欲しいとジンジン痺れて訴える。

「シンジ君のもの…お姉さんにちょうだい」

 リツコは吹っ切るように枕元のフォトスタンドをパタリと倒すと、上体を起こしてシンジを呼んだ。シンジは立ち上がり彼女の傍らに寄る。シンジはリツコが縛った手を解かれると傍らに腰を降ろして無言でリツコを見つめる。彼女はパジャマの上から盛り上がったシンジの分身をゆっくりと掴んだ。

「うッ」

 シンジが短くうめく。リツコはパンツと一緒にシンジの下半身を覆うものを引き降ろすと、先端に露を溜めて糸を引く分身が元気良く身を弾かせた。まだ使い込まれてもいない白いそれは、しかし予想に違わず見事に膨張してカマ首をもたげている。青いイチモツの美しさにリツコは思わず生唾を飲むと、そのままそれを口にスッポリと含んだ。

「はァァァッ…」
「んんっ…」

 貪るようなリツコのオーラルテクに息を詰めるシンジ。ジュルジュルと音をたてながら熱い若さを口に含む彼女の脳裏からは、もはやあの男への憎悪など消し飛んでいた。この少年を体全部で受け入れてみたいという貧欲な衝動に急かされるリツコ。

「あァ、出ちゃうっ!」

 そんなシンジの哀願も聞き入れずに吸い込む彼女の口腔にベッドの縁を掴みながら、シンジはたまらず一撃を放った。熱いものが舌の奥に注ぎ込まれると、リツコは最後の一汁まで飲み込む。

「…リツコさん」
「シンジ君の全部が欲しいの」

 分身を口から離したリツコとシンジの視線がかち合う。精を吐き出したそれは、しかしまだ立派にそそり立って存在を誇示している。かき立てられた欲望が堰を切ったように脳裏に満ちるリツコの目は、何かに衝かれたような光を放っている。シンジもその眼光に魅入られるように、下肢に纏わり付く服を脱ぎ捨てると体を仰向けにベッドに倒したリツコの上に覆い被さった。シンジの髪をやさしく掻き回しながらキスをするリツコ。彼女の唇を何度もついばんだシンジは、鎖骨や脇のあたりも同じようについばむ。

「アアッ、ハウッ」

 尖らせた唇で強く乳首をついばまれるとリツコは激しく呼吸を乱して、自ら両手で乳房をかき寄せる。胸板の中央にタップリ寄せられたふくらみの先にシンジが頬を押し付けて捏ね回すと、彼女は押し潰さんばかりにふくらみをギュッとワシ掴みした。

「モウッ!もうちょうだい、シンジ君!」

 両手で腰からももの張りを掴みながらリツコの恥丘の栗色のラフに顔を埋め、潤みが内股まで濡らす窪みの周囲に貪るようにキスを繰り返しているシンジの粗っぽい愛撫にたまらなくなったリツコが息を切らせながら高い声で哀願する。オーバーヒートしてしまいそうな体を抑止するかのように、彼女は両足を屈伸させてベッドに擦り付けるような動作を繰り返した。シンジはリツコと正対するよう彼女に抱き付くと、両膝を上げて股を開いた彼女の間に下半身を固定して分身の先端を窪みにめり込ませる。ミサトとの時に行為の前に交わした『儀式』のことを思い出して少しためらったシンジだったが、次の瞬間には自ら腰を動かすリツコの中にズルズルと飲み込まれていた。

「アアッ、満ちるッ!」

 シンジをすっかり飲み込んだリツコは、芯の中心に新鮮な栓を詰め込まれているという情感だけで激しい快感に襲われていた。彼女の腰の動きに分身を貫くような心地良さを覚えるシンジもまた、自ら腰を前後に動かした。張り切った亀頭が彼女の内壁をスライドする度に2人は息を荒げ、背中を駆け抜ける刺激に声を震わせる。

「ハッ、ウウォ!」
「イッ、ひィィっ!」

 ほぼ同じくして2人は高みに達し果てた。

「体は正直だわ…」

 まだ汗の引かぬ体を合わせたまま、リツコは肩口に顔を埋めてしがみ付いているシンジの耳元に囁いた。

「何ですか?」
「結局、私は好きでこんなことしてるんだわ…根っからスキモノなのね」

 シンジの問いに答えにならぬ独り言をつぶやくリツコは言いながらフフッと小さく笑った。

■■■

 焼けたトーストのバターの香りとハムエッグの立てる湯気、ドリッパーで入れた荒挽きのコーヒーの匂い。翌日、目を覚まして身支度を整えたシンジはカウンターに並ぶ絵に描いたような朝食にまたもや感嘆した。

「スゴイや、ミサトさんには絶対に真似できませんね」
「当然よ!」

 キッチンで丈長のネグリジェの上からエプロンを掛けて支度をしているリツコが2つめのハムエッグをフライパンから皿に取り出しながら、シンジの方を見て微笑む。

「私は貪欲なの、徹底しなきゃ気が済まないのよ、シンジ君も気を付けることね」
「は、はいっ!気を付けます」
「今日からまた、シゴくからそのつもりでね」
「また、ですか?」
「そ!初号機搭乗者としてはまだまだ鍛えが足りないわ、強化訓練プログラムに替えるから、まずは朝食をしっかり摂るのよ」

 シゴキという言葉に昨夜の痴態を思い浮かべそうになったシンジは、すっかりNERV技術部長の顔に戻っているリツコに苦笑いを返しながらカウンターのスツールに腰掛けてトーストを頬張った。

 


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