第3話 〜 委員長、撃沈!
作 / Sa−toshi ・ 画 / 森里 涼


「い、碇ぃ!」

 コテコテの大阪弁、それもドスの効いた河内訛りで鈴原トウジは碇シンジの胸座を掴んだ。

「悪く思うなよ、碇、今回ばかりはオレも同情できないからね」

 その傍らに立つ相田ケンスケ。使徒『シャムシエル』迎撃の際にシンジと絶対絶命の恐怖を共有した2人。転校先で孤立していたシンジにとって、やっと友達と呼べる間柄になった2人だったが、今の2人のシンジに対する気持ちは、そんな生まれたての友情を崩しかねない怒りに満ちていた。放課後の体育館。その地下にある物置の中には、掃除当番を割り当てられていたトウジ、ケンスケ、そしてシンジの3人だけしかいない。明り取りの小さな窓から差し込む光だけの薄暗い倉庫の中、埃くさい匂いのコンクリートの床に無造作に積まれた折り畳み椅子。胸座を掴まれたシンジは、その勢いで椅子の山に背中を突いた。

「あれほどキイ付けや言うといたのに、碇、ホンマにお前はアホや!」

 トウジは掴んだシンジのワイシャツをグイッとひねり込む。第2ボタンがちぎれ飛んだ。

「なんで民家に向って突っ込んでくるんじゃ!ワシの部屋、また壊れてもうたやないかっ!」

 最初の使徒との戦闘で、シンジは訓練もなしに必死の反撃と殲滅に奇跡的に成功したが、第3新東京市の繁華街のど真ん中で戦闘を開始したために建造物や各種施設、車両に余分な損害を与え、また民間人に多数の死傷者を出した。トウジは家を失い、滅多に家に戻らぬ父を除けば唯一の肉親である彼の妹が瀕死の重傷を負ったのだ。彼女は命こそ助かったが、怪我の程度がひどいために回復のメドは立っていない。そんな経緯からトウジとシンジの出会いは最悪の雰囲気で始まったのである。その後せっかく解けつつあったわだかまりが、また戻ってしまうのか。

「ケンスケ、お前は碇に何されたんじゃ? お前のぶんもド突いたるで」

 トウジはガナリ立てながらシンジの体を椅子の山に押し付けるので、椅子がガシャガシャと金属音を立てる。

「僕がたまたま止めておいたチャリンコを見事にスクラップにしてくれたのさ」
「あん?あの、誕生日に買うてもろた言うてたマウンテンバイクか?」
「まだ3回しか乗ってなかったのに、あれ、ドイツの高級車メーカーブランドで限定生産モデルなんだぜ、えらいもの壊してくれたよなぁ」

 ケンスケは言いながらオーバーに手を広げてみせる。

「そんなところに止めとく方が悪いんじゃないか」

 黙って煽られまくっていたシンジが視線は床に落としたままでボソッと反論した。

「あの辺り、中央通りは駐輪禁止じゃないか」
「なんじゃぁ?それが壊した奴のいうセリフか!それじゃ、あそこに引っ越したワシもイカんちゅうことか?何とか言うてみぃ!」

顔は背けたまま、ジッと視線をトウジに向けたシンジは『そうだよ!あんなとこに住んでた方が悪いんだよ』と屁理屈を返す。クラスの女子たちからいつしか『3バカトリオ』などという呼び名を頂戴するほど気心の知れた3人の仲は、今や崩壊寸前の険悪さである。

「だいたいなぁ、トロいんや、オノレは! パイロットに向いとらんのやないか? あぁ?」

何度目かの使徒迎撃で自分なりに上手くパイロットをやれるようになってきたと思っているシンジのプライドを、小馬鹿にするようなトウジの言葉が刺す。キッと睨み返したシンジの表情にキレたトウジが、彼の両肩に掴み掛かった。

「オノれは、もっぺんど突いたらな、わからんようじゃなぁ!」

 激昂したトウジが大声を上げながらシンジを椅子の山に叩き付けると、不安定な折り畳み椅子の山が大きな金属音を立てて崩れ落ちて来た。

「何やってんのよ!」

 その音を聞き付けたのか3人には聞き覚えのある甲高い女生徒の声が入り口から飛び込む。

「ちょっと鈴原?あんた、また碇をイジめてるの?!」

 クラス委員長の洞木ヒカリだった。責任感の塊のような彼女は、クラス委員長としての仕事を完璧にこなさないと満足出来ないとばかり、クラスの掃除の受け持ち場所を丹念にチェックして歩いているのだ。

「やべ、委員長じゃ!ケッ碇、助かったの」

 捨てセリフを残して、トウジとケンスケはバタバタと逃げ出す。

「あんたたち、こんなところで掃除もしないで何やってんのよ!」

 狭い出入り口で駆け出て来た2人とぶつかりそうになったヒカリは、逃げる2人に向ってそう言うと、倉庫の低い天井に付いている蛍光燈のスイッチを入れ、中で椅子に半分埋まっているシンジの側に駆け寄った。

「大丈夫、碇?」
「…あぁ、なんとか」

 上半身を雪崩のように崩れた椅子に潰されているシンジの頭のそばにヒカリは屈み込んで彼の顔をのぞく。

「額、ちょっと切れてるよ」
「そう?…」

 横向きに倒れているシンジの顔の前、ちょうど屈んだ彼女の両足首の間の制服のスカートの奥がシンジの目に入った。ヒカリの言葉に思い出したように額の傷の痛みを覚えた彼の中で、その痛みがトウジたちへの怒りを反芻させ、いつもは眠りの中にあるもうひとりの自分が目覚めようとしている。

「今、椅子どけるからね」

 彼女が立ち上がろうとする。

「あ、待って、ぼくの頭の後の方、何か挟まってないかな?」

 心の中で目覚めたシンジの本能が、そう言って彼女を制止させる。

「え?」
「何か、髪の毛が挟まってるみたいで痛いんだ」

 ヒカリは再び屈んだ姿勢のままシンジの頭の後ろを注視している。

「椅子どけなきゃ、わからないわ」
「そうだね」

 その少しの間、シンジは彼女の足首の向うに見え隠れしている微妙な丸みを帯びた白いものを視姦して楽しんだ。そんな事には気付かずにヒカリは立ち上がって、シンジを潰している折り畳み椅子を片付ける。

「立てる?」

 シンジの体の上にあった椅子をあらかた片付けたヒカリが心配そうに言うと、シンジは少し顔をしかめて上半身を起こし、わざわざ半身をひねって首をグルグル回して見せた。

「あちこち痛くて」
「とにかく保健室に行こうね」
「うん」

 顔をしかめながらヨロヨロと立ち上がるシンジだが、実のところ血の滲んだ額以外には痛みなどなかった。ただヒカリの情のこもった仕種にシンジの本能は一層触発され、この純情一途な少女にこの際タカってやろうという気持ちが、偶然スカートの中を見た瞬間から彼の心の中に沸いていた。何かにつけて鈴原トウジに突っ掛かる彼女の本心には、シンジも薄々気付いている。(好きでエヴァに乗っているわけでもないのに、何も知らないくせにトウジの奴は僕のせいにして一方的に手を出したんだ、その痛みを委員長に返してもらうっていうのは、素敵な計画じゃぁないか?) 彼は心の中で災い転じて福をなすとばかりにほくそえむ。

「肩、貸そうか?」

 彼女はそんなシンジの不埒な気持ちなど気付かず、シンジの肩口に体を寄せて彼の顔を覗き込んだ。左右簡単にゴムで結んだ、彼女のトレードマークのような洒落っ気のない長めの髪から伝うシャンプーの匂い。ややソバカスの目立つ顔の中からきらきら輝く大きな瞳。今時の中学生にしては幼さが残る表情がシンジの本能を徐々に加速させる。しかしあまりわざとらしく痛がっても怪しまれる。

「あぁ、大丈夫、何とか歩けるよ」

 シンジは愛想笑いをヒカリに返した。

■■■

 保健室は職員室と同じフロアにあったが、あまり使われない応接室や会議室を間に挟んでいるせいか利用する生徒がいる時以外は静かなものである。授業中はサボリたい連中や体育実技でちょっとした怪我をした者で繁盛する時もあるが、放課後前後の保健室というのは案外空いているのだ。オマケにその日は保健教諭が留守だった。

「今日、保健の先生いないんだよね」

 律義にノックをして扉をあけるヒカリの後に続いて、一時的に人通りの途絶えた廊下の左右と、扉の脇にある教諭不在を示す掛け札をチラリと目視してシンジは中に入った。さっさと消毒のために備品戸棚の前に行った彼女を視線で追いながら、シンジは扉を閉める時さりげなく後ろ手で鍵を掛ける。そんな事は知らずヒカリは鼻歌を歌いながら消毒の準備をしながらシンジを呼んだ。

「消毒するから、そこに座って」
「うん、ごめん手間かけさせて」

 保健教諭の机の前の丸椅子ではなく、その横にある半開きのカーテンと壁に仕切られた救護ベッドに腰掛けたシンジ。彼の額にピンセットで消毒薬の綿球を当てるヒカリは彼の魂胆を疑おうともしなかった。

「ちょっと痛いけど我慢してね」
「大丈夫」
「委員長ってさ、何かこういうことしてる時、生き生きしてるよね」
「そうかなぁ」
「うん、楽しそう、何かお姉さんていうかお母さんていうか、そんな感じ」
「やだなぁ、そんな年上みたいに見える?」

 もっとも言われている彼女もニコニコしている。

「ウチって姉妹多いから、家のこと私がしてるし、こういうの馴れちゃってるんだよね」
「委員長って、だから優しいんだね」
「やだぁ、誉めても何も出ないわよ」

 ピンセットで使った綿球を捨て、バンソウコウをシンジの額に貼るヒカリの楽しそうな表情が一層緩んだ。その空きをシンジは見逃さない。額の上にある彼女の手に自分の手を重ねてポツリとつぶやく。

「いい匂い」
「え、どうしたの?」
「何か気持ちが落ち着くな、委員長の匂いって」
「碇くん…」

 戸惑いを覚えたヒカリは口調を変えてシンジの顔を注視したが、彼は目を閉じたまま話続けた。

「母さんはいないし、父さんとはほとんど会わないし、ミサトさんは仕事が不規則で帰ってきても飲んでるか寝てるかだし、今日だってワザとじゃないのにトウジもケンスケもわかってくれないし…」

 フッと深く溜息をつくシンジに、すっかりヒカリは同情してしまっていた。

「碇くん、体張って頑張ってるのにね、みんな冷たいよね」

 居たたまれない気持ちになった彼女はそのまま貰い泣きしそうになっていた。そのままシンジはゆっくりと彼女の胸元に額を当てる。

「ごめん、少しだけこのままにさせて」
「 碇くん…」

 ブラウスの襟元から立ち上る淡い石鹸の匂いと温もりのこもった体臭がシンジの鼻をくすぐる。大きくはないがふくらみの感触は、服の上からでもシンジの額に感じる事が出来た。

「すごくいい匂いがする」

 間を置いてシンジは胸元から頭を上げると両腕を彼女の腰に回し、自分の方に抱き寄せて首筋から耳元に唇を這わせた。

「ちょっと碇くん!ダメ…」

 予想外の展開に体を離そうと仰け反ろうとしたヒカリだが敏感なところに唇を当てられ力が入らない上に、シンジは素早く腰に回していた両腕で上体をがっちりと抱き抱えていた。シンジは彼女の上体を左側に向けてベッドにひねり込んで倒す。教室よりもボリュームが絞られた天井のスピーカーから掃除時間終了のチャイムが鳴る。校庭には部活を始める生徒のざわめきが聞こえる。それが特別責任感の強い彼女に、学校の中でこんなことになっているという状況が大声を上げることをためらわせた。シンジは鼻先を耳の裏に付けたままつぶやく。

「ごめん委員長、でもこんなに優しい委員長が大好きなんだ」

 抱いている腕の力こそ強いが、動作はあくまでもゆっくりと優しい。乱暴なことをされているという感じがあまりないことも彼女の抵抗を弱めていた。

「もう少しだけ、お願いだから」
「乱暴にしないで」

 母性本能に訴えるシンジの術中にまんまとハマッているとも知らずヒカリは体の力を抜きシンジの行為に任せた。

■■■

 シンジの吐息が首にかかる度に、埋もれていた恥ずかしい感覚が彼女の頭の中を占拠していく。中学生だからイケないことだと自制していた快感。女の子同士で時々弾んだ猥談の輪の中では顔を赤らめて聞いていたけれど、ヒカリとてその快感を知らない訳ではなかった。でも責任感や正義感から我慢していた感覚が、突如として封印を解かれようとしている。その混乱をシンジは読んでいた。片手を背中から離して彼女の胸元にゆっくりと移動させる。息を吹きかける間隔は乱さず、慌てることなくブラウスの第2ボタンと第3ボタンを外して右の胸を下着の上からゆっくりと揉みしだく。恥ずかしさと解き放たれ出した快感から声が出ないヒカリはゴクリと喉を鳴らした。ブラのカップの中で押さえ付けられた先端が引き釣られるような甘い感覚を発すると下半身の一点も熱く痺れ始めた。我慢していたあの手慰みの記憶がはっきりと蘇り始める。シンジは愛撫を止め更にボタンを外してブラウスの中で背中に手を回す。器用にブラのホックを外してカップを引き上げてしまうと、再びゆっくりと慎重にふくらみの裾から先端にかけて指を這わせると色白の肌は少しずつ温かみを増して呼吸の度に波打っている。

「はぁっ!」

 硬くなった先を指の腹で掃くとヒカリは思わず小さな声を漏らした。シンジは息を吹き掛け続けた首筋から襟元に顔を移動させながらループリボンを解き、第1ボタンも外してしまうと顔を上げずにブラを引き上げた胸元に顔を埋めて動きを止めて愛らしいふくらみと温もりを味わう。

「暖かいね」

 そうつぶやいて彼女の安心を誘いながら、シンジはキスを急がなかった。唇を奪うことで彼女の自制、トウジへの想いを呼び戻してしまうのを避けたかったからだ。ヒカリもまた汚されているという感覚はなかった。誰にも理解されず孤独に戦うひ弱な少年の辛さが和らぐのならばという気持ちは彼女の正義感と共鳴していた。

「好きにしていいよ」

 そんな大胆な言葉が彼女の口から出たのもそんな気持ちからだったが、いよいよシンジは遠慮することなく前をはだけた制服から剥き出しになった両の乳房に頬を摺り寄せ、目前の丸く硬くなった薄褐色の乳首を交互に口に含む。愛らしいふくらみが形を変える度にもどかしい感覚がヒカリの背中を駆け、先端が暖かく湿らされ転がされると、それ明確な快感になって彼女の頭の中に突き上げた。もはや外に聞こえたら恥ずかしいという事だけが彼女の自制をつなぎ止めている。

「あん、あぁ、うっ、」

 泣き声を堪えるようなうめきが彼女の口から発せられる。シンジは攻め急いで彼女の自制が効かなくなり、派手に声を上げられないように気を付けながらスカートの中に片手を入れてパンティの布地の上から下腹部にゆっくりと指を這わせた。既に恥丘のふくらみのあたりまで綿の布地が湿っているのがわかる。

「そんなところ、汚いから」

 ヒカリは言葉でこそわずかに抵抗したが、布地をつまみ上げてグイッと股間を刺激されると、濡れた布地が秘所に擦れて鋭い快感が脊髄を伝う。

「はううっ!」

 彼女は爪先から力を込めて仰け反り、激しく顔を左右に振った。シンジは再び耳元に息を吹き掛けて彼女の快感が暴走するのを冷ます。

「い、碇くん!やさしくして」

 もう、ヒカリには行為に対する罪悪感など抱いている余裕はなくなっている。

「ふたりの秘密だから、ね」
「…はぁぅ、うん」

 シンジが彼女の羞恥心が完全に解けないように小声でささやくと、甘い吐息を吐きながら頷くヒカリ。主導権はシンジが握っている。立場は逆転したのだ。シンジはニヤリと微笑むなり乳首を舌先で突付きながら、指先で彼女の秘所の一点をパンティの上から力を入れずに優しく刺激した。

「恥ずかしぃ…、あん、もっ…」

 乱れたヒカリは言葉がきちんと出てこない。シンジはしばらく下着の上から間接的な秘所への愛撫を続けながら彼女の快感の高まりを待つ。ヒカリは左腕で顔の半分を覆い、右手は添い寝する形のシンジの頭や肩を抱いたりシーツを掴んだりして彼の愛撫に身を任せている。彼女の意識の高まりが逸れないように言葉は掛けず、シンジはひたすら吐息を耳元に吹き掛けたり耳たぶを唇で挟んだりした。上下させたり押し込んだりする指の動きが強く早くなると、

「ふぅ、ううっ、う!」

 歯を噛み締めて大声になるまいと我慢している彼女の荒い息に混ざって出てくる喘ぎは短い間隔で指のリズムにシンクロし始める。

「うぅっ、変になるっ!」

 かすれた声で哀願するヒカリ。シンジは上体を彼女の下半身にずらすと両手をスカートの中に入れて尻に回し、太股まで托し上がったスカートの中からパンティをゆっくりと引き出した。

「やだ…」

 彼女は両足を軽く揃えて抵抗しようとしたが、反射的に恥ずかしさで顔を両手で覆ったのでシンジの行動を押し止めることは出来ない。托し上げられたスカートの下からあらわになったヒカリの下半身は細い外観や胸のふくらみと比べると意外に肉付き良く見えた。開いた骨盤の上になだらかに傾斜する臍から下のスロープとその中央に集まった薄めのヘア。シンジは両足でまたがりながら体の下に彼女の両足を組み敷く形で素早くヘアの生えた恥丘の下の谷間に顔を近付け鼻先を埋ずめる。

「そんなことはァ…!」

 一瞬上体を起こして羞恥の限界をどんどん踏み越えるシンジの行為を制止しようという理性が働きかけたヒカリだが、彼の舌先が谷間の一点を攻める方が早かった。

「あっ!」

 ザラつく舌がそこを刺激した途端に彼女は起こしかけた上体を両肘で支えたまま息を詰めて仰け反る。両膝が浮き、爪先に力が込められた。シンジは褐紫色の谷間の底の会陰から尿道口、小さく剥き出した小粒まで舌をゆっくりと丹念に動かす。既に溢れたものでヌメっているそこは卵白を塗り付けたようになっていて、独特の香りやかすかな尿臭、体臭が混ざってシンジの鼻や口の中に広がると、ここに入室した時から硬くなって待機し続けていた彼の分身の放出欲が高まってきた。

■■■

 ヒカリは顔を横向きに枕に埋めて右手で口元を押さえて声を放たぬように堪えながらも、左手はハダけたブラウスと襟元まで引き上げられてしまったブラの下から剥き出しになったふくらみを隠しつつ自ら強弱を付けて押さえたりして無意識に愛撫している。シンジの淫らな行動が我慢していた欲求を一気に吐き出させていた。時々こんなに恥ずかしいことをしているという自責の気持ちが頭をかすめるが、どうしたことかその度に快感度が強くなって行く。

「んっ、うっ、ん!」

 枕に埋めた顔は赤熱し、前髪が散る額には汗が滲む。口元を押さえる握り拳は声が出そうになる度にブルブルと震えた。臍までスカートを托し上げたシンジは片手で谷間を押し広げて舌を這わせたり唇を吸い付けたり好き放題に彼女の股間を弄ぶ。刺激を加える度に膝が伸びたり縮んだりして内股の筋肉が伸縮する。

「い、碇くん、お願いだから…」

 このままでは辺り構わず声を上げてしまう。やっと言葉を見つけて行為を止めて欲しいと言おうとするヒカリ。枕から顔を上げて哀願するような彼女の潤んだ瞳がシンジを見つめる。シンジは獲物を狩った満足感に満ちて淡い笑みを浮かべている。

「止めて欲しい?」

 楽しそうなシンジ。

「…」

 無言のヒカリ。彼女の頭の中は底無しの快感への欲求と自制が保てなくなる恐れが渦巻きイエスともノーとも言えないのだ。シンジは口元を手の甲で拭うと枕元の彼女の顔の前に自分の顔を横たえて額を寄せた。

「僕のこと、キライ?」
「碇くんはキライじゃない…」

 シンジの微笑みを前にしてヒカリは催眠術にかかったように小声でつぶやく。更にシンジが顔を寄せると彼女は目を閉じた。シンジはゆっくりと唇を重ねると片手で手早くズボンのベルトを外し、ジッパーを下ろして下着もろとも自分の下半身を剥き出した。そして硬直した分身を掴み出すと唇を離し、頬を寄せて抱き寄せるような体勢になる。力の抜けているヒカリの両足の間に体を入れ、片手を添えた分身で彼女の谷間を探り、先走りで光る怒張したその先端がやわらかい窪みを捕らえると、躊躇せずにヌメった深部に突き入れた。

「うっ?!」

 シンジは耳元で、奪われた瞬間のヒカリの声を聞いた。

「声を出したらみんなに聞こえちゃうよ」

 根元までゆっくりと埋めたシンジは彼女の耳元で少し息を荒げながら囁く。

「ふ!ふふっ、うっ!」

貫通された痛みと密着したふたりの間で充血して感度を上げている乳首と下腹部の一点から伝わる快感が心臓の鼓動に合わせてズキズキとヒカリの体を駆ける。声を上げられないという我慢がさらに中枢を刺激する。自らは動いていないものの、シンジの分身はそのリズムに合わせて絞め付けられる。

「クッ・・・」

背中を駆ける刺激の波に顔を歪めた彼もそろそろ限界を迎えていた。彼は上体を起こすと分身を暖かいヌメりから引き抜き、両手を添えた。ヒカリの上に膝を付いて仁王立ちのシンジの顔が歪むのと同時に白濁した男精が手の中に弾ける。鳥肌の立つ、悪寒にも似た強い感覚がシンジの背筋を走った。歪んだその顔が一転して安堵と解放の表情に変わるのを一瞬飛んだ意識の後でヒカリはぼんやりと見つめた。脈打った分身が力なく萎えた頃、シンジは手を添えたままベッドを離れて窓際の流し台で放ったものを洗い流す。

「あんな顔・・・するんだね、碇くんて」

 上体を起こし、そそくさと乱れた着衣を整えながら酔いの回ったような小声で言うヒカリ。

「軽蔑した?その辺の奴とちっとも変わらないって…」

 シンジが背を向けたまま抑揚なく答えると彼女は少し声のトーンを上げて言った。

「そんなことないよ…私、少しうれしかった、碇くんのあんな表情見れて」

 シンジは無言でポケットからテイッシュを取り出し分身を拭い、ズボンの中に収めると丸めたテイッシュを力なく足元の屑入れに捨てた。

「ここに来て初めてかもしれない、こんなにホっとした気持ちになったのは」

 肩の高さにある窓の外をブラインド越しに眺めながらシンジも少しだけ明るい声で言う。その時しばらく人の近付く気配のなかった扉の外を生徒がバタバタと駆け抜けて、ヒカリは正気に返った。

「先に出て!一緒に出ると変だから」

 いつものちょっと甲高い口調に戻った彼女は、ベッドの脇に放って置かれたパンティを慌てて丸めて掴む。下腹部から擦れたような痛みがはっきりと蘇ってくると、済ませてしまった事の大きさに彼女の顔が紅潮した。

「ごめん、先に行くね」

 誰もいない事を確かめるように扉の前に立っているシンジ。

「碇くんのこと、私いつも信じてるから…」

 彼は扉の外に出るのと同時にガラガラと扉が閉じる音に混ざって、少し早口で下を向いたままのヒカリがそう言うのを聞いた。

「ふんっ」

 シンジの口元に優越の笑みがこぼれる。こんな役得があるならば、もうひとりの碇シンジの顔でひ弱な救世主を演じ続けるのも悪くない。今や本能に覚醒し、その喜びを体で知ってしまったシンジは、Eva搭乗者としての自分の立場に深い満足感を感じていた。

 


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