第4話 〜 アスカ、融解!(中編1)
作 / Sa−toshi ・ 画 / 森里 涼


 夜明け前に搬出されたのと同じ二子山のアプローチデッキに降ろされた3体のEvaは、日没までまだ間のある長い夕日に照らされながら専用エレベーターに固定されると、箱根外輪山の内側に巡らされた出撃・搬出入用シャフトを経てNERV本部内の地下ケイジに戻された。

「あんたに任せるわ、後はヨロシク」

 厚木飛行場ではおカンむりだった葛城ミサトも帰投する地上部隊の車中で頭が冷えたのか、当日のアスカの措置については赤木リツコに任せて、本部に着くやいなや真っ先にパイロットの碇シンジや綾波レイを連れ立って食堂へと繰り出して行った。

「とりあえずはビール、ビールッと・・・2人とも好きなもん何でも頼んでいいわよ」
「今月、もう赤字じゃないんですか?」
「まぁ、チョッチね・・・そこは優秀な家政夫さんがウチにはいるから何とかしてくれるでしょう」
「結局そうなんですね・・・調子イイんだから」
「心配しないで碇君、私そんなに食べないから」

 例によって仕事を打ち上げてビールへの欲求に走るミサトの調子のイイ言葉に閉口するシンジ。レイは、迷惑は掛けないわというような顔付きで2人の後について行く。それを眺める伊吹マヤがあきれたように言った。

「全くッ、あんなにまなじり吊り上げてたクセに、いい気なもんですね葛城三佐ったら」
「荒れられるよりはイイわ、マヤも先に食事に上がってちょうだい」
「でも先輩、弐号機とアスカの事後処置があるんでしょう、私もお手伝いします」
「ああ、気にしないで、細かいことは今日はやらないから、私ひとりで充分よ」
「そうですか・・・」

 手伝いを拒まれて少し残念そうなマヤ。リツコは帰投する車中でまとめた現場報告書の束をマヤに預けると皆と別れて、ひとり所内の私室へと向かった。彼女は周囲に誰もいないことを確認して室内に入ると、まず弐号機の格納作業を行っている現場に電話を入れてアスカをパイロット待機ブロックで待たせるように命じた。次に自分の机のサイドキャビネットの引き出しから薬袋を取り出し、袋に記された文字を確認して白衣のポケットに入れる。更に室内の鍵の掛かった書類棚を開けて1冊のファイルを持ち出し、それを小脇に抱えると私室を後にして地下の格納ケイジへ降りて行く。

「弐号機のパイロットは?」
「もう、パイロットの待機ブロックに出て来ていると思います」

 ケイジに固定された弐号機を見下ろす通路まで来たリツコは現場の作業班長にアスカの居場所を尋ねると、待機ブロックへの階段を駆け降りる。そこまで立ち入ることの出来る関係者が限られている上に、日曜の夕方ということで所内には必要最小限の常駐要員しかおらず、待機ブロック周辺には誰もいない。保安システムによる厳しいチェックの掛かったいくつかのドアをくぐって、リツコはプラグスーツを着けたパイロットがプラグに搭乗するためのエアロックに通じる待機室に入った。アスカはプラグスーツのまま、腕を組んで壁にもたれ掛かりボンヤリと天井を見ている。

「気分はどう?」
「あぁ、赤木博士・・・」

 アスカはリツコに声を掛けられると、力無く首を左右に振って答える。

「ちょっと話、させてもらえるかしら?」
「どうぞ、そういう約束ですから」

 アスカは半ば弐号機パイロットからの降格を覚悟しているのか、顔は青ざめて声に抑揚がない。リツコはファイルを開いて話を続ける。

「入院中、いろいろと身体や精神の状態をチェックしたけど、ちょっと不安定のようね」
「ええ、まぁ、何かとありましたから・・・」
「プライベートで?」
「赤木博士なら、もう察しはついているんじゃないですか?」

 今更遠回しに聞かなくてもといった口調で、口の端に寂しそうな笑みを浮かべるアスカ。リツコはチラリと彼女の顔を見ると、まぁねという感じでファイルの方に視線を戻した。ミサトが加持と同衾した日、リツコは2人と共に所内の関係者の結婚披露宴に出席していた。酔いつぶれたミサトを最後まで面倒見たのは加持であり、その後どういう結果に陥ったのか、アスカたち同居人との折り合いも含めて大方の察しは付く。

「あなたの実質的な保護者は、保護者失格かもしれないわね」
「いいんです、どうせミサトはパイロット降格って言うんでしょ・・・」

 彼女のプライドの唯一の拠り所である弐号機パイロットという選ばれた者の立場から降ろされると思い込んでいるようなアスカは、抱えた両手で体を抱きすくめて目を伏せうつむいた。

「あなたのパイロットとしての資質は衰えてはいないと思うけど」
「降格、じゃないんですか?」
「仮にミサトが降格を進言しても、私は同意しないわね、あなたに取って代わる人材が見当たらないもの」

 その言葉に顔を上げたアスカの表情が少しだけ晴れる。だが、リツコはファイルに目を走らせながら淡々としかし目の前の少女にとってはいきなり心の恥部に触れることを口にした。

「立ち入った話になって悪いけどアスカ、あなた・・・処女じゃないわね」
「えッ?!」
「お母さんが入院していた時からあなたの面倒を見ていた叔母さんとも、本当はあまり折り合いが良くなかった」
「・・・」
「叔母さんの御主人、つまり叔父さんにあたる男性とは全くウマが合わなかった」

 既に処女ではないことや過去の家庭環境にいきなり話が及んで、アスカは驚き一瞬言葉を失う。

「そして、12歳の時に研究局員だった叔父さんの後輩にあたる医学部学生とただ1度の肉体関係を結んだ・・・というより結ばされたと言った方が正しいかしら?」
「何で、そんなこと」

 それはアスカ自身が母の不幸な死と共に封印してきたことだった。早熟で頭の良い彼女は一時期その若い男を家庭教師に迎えたことがある。物静かで親しげなその男の優しさに心を許した時、男はアスカの青い身体を貪ったのだ。唇を奪った途端にまるで医学実習の対象のように彼女の汚れ無き肉体を隅々まで丁寧かつ執拗に辱めた異様な体験だった。

「ごめんなさいね、あなたは優れたパイロットの資質を持っているけれど、過去にとらわれていてはその資質は完全には発揮されない、それを言いたかったのよ」
「赤木博士ッ、私が過去の何にとらわれているって言うんですか?!」

 困惑の表情でリツコを見るアスカを、彼女はファイルから目を離してじっと見つめながら諭すように話す。アスカは当然一切のプライベートについて調査が及んでいるだろうとは想像していたが、それが当の自分の男性体験にも及んでいたということに堪り兼ねて、羞恥と驚きと嫌悪の入り交じった声を上げた。

「あなたの中で異性に対する怒りと、体を許したことに対する後悔とが混濁して時に感情の均衡を失する場面がある、それが作戦行動の最中だったりすると、いつか命取りになるわ」

 的を得たリツコの指摘に、アスカは反論出来ない。確かにEvaによる作戦行動中にパイロットとしての使命感や使徒に対する敵愾心よりも、パートナーであるシンジを打ち負かしたいという衝動で行動することがあったからだ。ならば何故、立派な男である加持にだけは甘えたくなるのか。

「ま、加地クンには甘えたがるっていうのは、あなたもお年頃、ってことかしら?」
「やめてッ!」

 一見矛盾する加持に対する彼女の行動は、そんな男に対する強烈な反発の裏で彼女のおんなとしての本能が、心身の成長と共に父親不在の幼少期を過ごしたが故の依頼心と入り交じって噴出しているのだとリツコは言いたいのだろう。女を否定したいのに、心身は確実におんなになっていく。アスカは顔をしかめてリツコの言葉を遮る。リツコはそんなアスカの思春期の少女らしい恥じらう姿にまなじりを下げつつ話を本筋に戻した。

「加持クンのことはともかく、あなたはシンジ君に対しても自意識過剰よ、だいたいあなたが対抗心を燃やさなくちゃならないほど、シンジ君は頭抜けたパイロットじゃないわ」
「でも、シンジは初搭乗で1発でシンクロして使徒を倒した優秀な…」
「あの時は苦し紛れの一撃って感じだったわ、ビギナーズラックって誰にでも1度や2度はあるものじゃなくて?」
「それは・・・」
「彼、普通の男の子よ、彼をあんまり厳しい目で見たら可哀相だわ、彼はエリートでも何でもないもの」
「それじゃ、何でEvaのパイロットに?」
「MAGIに聞いてみるしかないわね、まぁ予想通りシンクロ率が高かったのは理由かもしれないけど」

 上手く言い包められたようで複雑な面持ちのアスカにリツコはポケットから持ってきた薬袋を取り出して手渡す。

「そう、あなたに処方している薬、これに変えてみて」
「あの赤木博士、薬は使ってるんですけど時々痛みがヒドくって」

 薬を渡されたアスカは袋を開けて銀色にシールされている中のカプセルを確認しながら、既に処方されている同じ用途の薬が、自分の体にとってキツいことを訴えた。

「まだ、あなたの身体は成長期だからよ…うらやましいわね、若いって」
「もし使うのを止めれば、普通に戻るんですか?」
「まぁ、続けることに不安があるかもしれないけれど任務規約だから、ちゃんと使ってね」
「・・・はい」
「じゃあ、話はおしまい、もうそろそろ時間でしょ、薬を入れたら帰っていいわ・・・その薬が効いてくれば、あなたに本当に必要なものが自ずと見つかると思うけれどね」
「?」

 最後の言葉に怪訝そうな顔をしながら立ち去るリツコの後ろ姿を見送るアスカは、何故その薬を使い続けることをためらったのか自問自答した。薬を使うと痛みがツラいことがあるから? それとも誰かのために普通の女の子でいたいという思いが胸の奥をかすめたからなのか?

「そんな事ないッ、私は弐号機パイロットの惣流アスカ・ラングレーなんだから・・・」

 胸の奥に残る一抹のせつなさを振りほどくように誰もいない待機ブロックの中で、彼女ははっきりと声に出してそう言った。そして更衣室に入りプラグスーツを脱ぎ、裸になった彼女は部屋の壁に取り付けられているデジタル式の時計の青い蛍光管に目をやった。時刻はもうじき午後7時になろうとしている。

「少し、早いけどしょうがないよ、パイロットだもの」

 毎日、就寝時間の3時間前を目安にして使用することを求められている薬。月のものをコントロールする、否、完全に止めてしまうことによる影響を避けるために正確に周期を調整し、早めに終わらせてしまうための薬だった。副作用は半日ほどの淡いが身体の芯から沸き上がるような腹痛と、服用を止めた後の数ヶ月の間、女性としての本来の体の機能が失われてしまうこと。アスカの心の中で一抹の不安がよぎったのは、このためだった。

「子供なんていらない、けど・・・」

 もしも薬の服用を続けたがために子供の出来ない体になってしまったら、どうする? 女として子供を生んだが故に、結局心を病んで自ら命を断った母親。その子供として叔母や叔父から疎まれ、少女であるが故に男に弄ばれた自分。子供を生むこと、女であることを卑下しながら、しかし女として、少女として愛されたいという想いを否定出来ない自分。蛍光燈の青白い光の下で、自分の体を見下ろしながら彼女は取り出した白いカプセルをしばし見つめる。やがてアスカは溜息をつくと右手の指先でそれをつまみ、少し体を前屈みにして足を開き、股間の奥に押し入れた。

■■■

 午後8時を回ったNERV本部内にあるミサトの私室は照明が落とされ、部屋の主の手で監視システムも切られていた。非常灯だけの薄明かりの中でミサトは、休日だというのに洒落っ気のない学校の制服に着替えていたシンジを壁際に追い込み、この所、調子のおかしいアスカのことについて彼に迫っていた。

「何か知らない?彼女の身の回りで変わったこととかさァ・・・」
「べ、別に」

 食堂でジョッキをあおった酒臭いミサトの顔が近付くと、シンジの愛想笑いが困惑とおびえの混じったものに変わる。終業後とはいえ仕事場に残っているという状況にしては昼間の失態がよほど尾を引いていたのか、彼女の酔いはシンジの上官兼保護者を務めるにしてはいささか度を越えていた。

「お姉さんには正直に話しなさいよぉ」
「しょ、正直も何も、ンぐ・・・」

 ミサトの右手がシンジの顎をわずかに持ち上げると、その唇がミサトの唇に塞がれる。彼女の舌がシンジの唇の裏側を這い、動揺でなされるがままの彼の前歯の隙間から舌を捉えると、シンジの体から力が抜けて彼の体が壁にもたれ掛かって少し沈んだ。

「アスカと何があったの?」
「うッ」

 長いキスを終えたミサトの唇は、シンジの右頬を滑って彼の右の耳たぶをついばむ。彼女の両手はシンジの両肩から胸板に這い、爪の先がTシャツの上から彼の小さな乳首をクリクリとコネるとシンジは小さくうめく。このままではヒカリとの秘め事まで話すハメになりかねないと悟ったシンジは、話せるだけのことは言ってしまったほうが身のためだと思い、自ら口を割った。

「い、言います、言うから・・・」

 自分にとっても苦い思い出になった、ミサトの帰りが遅かった晩の出来事。成り行きでアスカにキスを迫られた挙げ句に目一杯の悪態を付かれた一件と、それ以来彼女とのコミニュケーションがしっくりしない事を白状するシンジ。ミサトはそれを聞きながら顔をシンジの腰まで降ろし、彼のズボンをブリーフと一緒に膝まで引き下げ、そして馴れた手付きで青白い分身を掴み出す。ミサトの前戯で硬直し始めているその先端を彼女が舌の先で上下になぞると、シンジは顔をしかめて喘いだ。

「あぅ・・・」
「それで、こんなに溜めてるのね」

 溢れ出した先走りの透明な銀色の糸を鈴口から引きながら、ミサトはその粘り気のまみれた唇でシンジの分身をくわえ込む。壁に背中を上下に小さく擦り付けて刺激に耐えていたシンジは、眼下で分身を愛撫するミサトの表情に情交の火を焚き付けられ、ミサトが分身から口を離した途端に彼女に倒れ掛るように覆いかぶさった。体重を預けられて床に押し倒されたミサトの首筋をシンジの唇が這い、彼の右手が服の上から彼女の胸のふくらみをまさぐる。

「ちょっと、シンジ君やめて」

 鼻を鳴らしながらシンジが自分を求めようと動いた途端、ミサトは我に返って彼を身体から引き離そうとする。

「今はアスカの話をしているのよ」
「誘ったのはミサトさんじゃないか、シタいんだよミサトさん・・・この前みたいに」

 甘えるような声で顔を胸に埋めようとするシンジ。だがミサトにしてみれば、彼へのこの行為は単にアスカの身の回りの変化を聞き出そうとする安易な誘導尋問でしかなかったのだ。

「やめなさいッ!」

 両腕に力を込めた彼女はシンジの身体を押し戻し、後に向かって跳ね退けると乱れた服を直しながら立ち上がり、ブラインドの降りた採光用の窓の方を向き冷静な口調に戻ってシンジに質問する。

「シンジ君、アスカのこと嫌い?」
「何ですか、いきなり」
「彼女、キミに振り向いて欲しくて邪険な態度を取ってるんじゃない?」

 分身への愛撫を途中で放り出された上にそれ以上の行為を拒絶され、背中を向けたままそんなことを聞かれたシンジは困惑した。

「だってアスカは、加持さんが」
「彼女が加持クンに求めているのは・・・」

 ミサトはシンジの言葉を遮ってそれを否定しようとする。しかしアスカの態度にかつての自分を重ねる彼女は、それをはっきり口に出すことが出来なかった。

(多分、アスカは存在しない父親の幻想を加持クンに求めているんだわ)

「ミサトさん、僕は・・・」

 目の前のミサトがすっかり保護者の顔に戻っていることに焦りを感じ、筒先をヌメらせた分身を股間からダラリと出したまま、ミサトの方に歩み出そうとするシンジ。ミサトが再び彼の方に向き直ると視線が合い、2人は見合ったまま動かない。

「僕は、ミサトさんが好きです」
「私も、シンジ君のこと嫌いじゃないわ」

 ヒカリと寝た時に彼女が口にしたのと同じような事を言う、シンジはそう思った。ミサトの中には加持が居る。だが、その存在は今やヒカリの中の淡いトウジの影とは比べ物にならないほど大きい。彼女の言葉にシンジはそれを感じた。

「上手く言えないけど、私はシンジ君にもっと大人になって欲しいの、だから・・・」
「じゃあ、なぜ僕と寝たんですか?」
「・・・」

 口をつぐんだミサトに歩み寄ったシンジは、やおら両手で彼女の両胸をワシ掴みにした。驚いた彼女はその手を払ったが、彼女を睨み付けるシンジは怯まずに自分の分身を彼女のスカートの上から太ももに擦り付ける。途端にミサトの右手がシンジの左頬に飛んだ。

「やめてッ!シンジ君とはそういう気持ちになれないの」
「僕と寝たのは、ボクやアスカを管理するための方便だった・・・そういうことなんですね」

 張られた頬を左手で押えて膝の辺りに着衣を絡ませたまま床にへたりこんだシンジは、自分もアスカと似たような状況に置かれたことを思い知らされる。その瞳に涙が滲んだ。加持やミサトが自分たちに優しい言葉を掛けるのは、飴を子供に与えるようなものだったのか?

「残酷だよ、ミサトさんも加持さんも!」

 ミサトは声を震わせるシンジの顔を見ずにハンカチでスカートの彼の分身の滲みを付けられた所を拭き、室内の全ての照明と空調を切る。シンジの言葉は痛かったが、今となっては彼女にとってのシンジとの一夜はその場の気まぐれに過ぎなかった。今の彼女の心も体も満たしてくれる存在は加持以外にあり得ない。

「受け入れられるのを待ってるだけじゃなくて自分で壁を越えてちょうだい、私にはそれしか言えないわ」
「わかんないよ、そんなの!」
「中学生らしくとか説教じみたことは言わない、心も体も早く大人になりなさい」

 自ら寝た子を起こしてしまったという後悔の念を抱きつつ、今はこれ以上理屈を説いても少年を納得させることは出来ないだろう。ミサトはあえてシンジの気持ちを無視するように低く落ち着いた声でそう突き放すと彼を残して部屋を出て行くこうとする。その時シンジの中で何かが弾けた。

(もう我慢なんかしないッ、言われたとおり大人になってやる!)

 暗く深い彼の心の澱みの中から、気弱な少年のベールに隠されてきた獣の本性が、そのベールを自ら剥ぎ取ると、シンジの形相が野卑な顔付きに変わった。

「ミサトさん・・・」
「何?あッ!」

 振り返った彼女の腹めがけて、シンジの素早く強烈な拳の一撃が入った。一瞬、信じられないというような表情をしたミサトが、その場に崩れ落ちる。

「ククッ、これから楽しくなりそうだよ・・・」

 シンジはニヤニヤといやらしい笑いを浮かべて床に横たわったミサトを見下ろした。

■■■

 腕の先に何かの感触を覚えたミサトは耳元にシンジの声を聞き、ぼんやりと目を覚ます。そして彼女は手の自由を奪われた事に気付き、たちまち正気に戻った。彼女の体は凝った刺繍の施された紫色のスキャンティ1枚に剥かれ、部屋の真ん中に持ち出された簡易ベット兼用のソファに載せられている。両手はバッグのベルトを使ってひとつに束ねられてソファの足に括られ、両足は大きく開かれて足元の机にストッキングを使って今や縛り付けられようとしていた。

「何なのよ、これッ!」

 ミサトは足を蹴上げようとしたが、ブリーフ1枚だけを履いたシンジが彼女の両膝の上にのし掛かり、それを押さえた。抵抗を退けて両足首を固定することに成功したシンジは、開いた彼女の足の間に膝を立てて腰を降ろすと、下から彼女を見据えている。

「これからミサトさんの体にお礼の挨拶をしなくちゃね・・・」
「何言ってるの、この子は!」

 シンジはゆっくりと腰を上げた。そして一旦ベッドから降りるとブリーフを脱ぐ。ミサトの前に立つ彼は顔付きも体格も彼女の知っている、あの気弱な優しい少年ではない。そして十分に反り返っている少年の股間のモノは、血管を浮き立たせて真っ赤に赤熱している。その迫力は、顔付きや体格を上回るものが遠目にも感じられた。

(このコったら、いつの間にこんなに・・・)

 その生々しさにゴクリと唾を飲み込んだミサトだったが、そんな悠長な状況ではない。これではレイプだ。それにもうこの少年の肉体とはもう訣別した筈ではないかと自分を戒めるミサト。

「声を出すわよ!」
「監視システム切ってるんでしょ、無駄ですよ」

 シンジは落ち着き払って、彼女のバッグから見つけた避妊用のジェルを、自分の両手に取ると硬直した分身に塗り付ける。もう先端に露を溜めているイキリ立つモノをシゴくシンジはわずかに顔を歪めた。

「持ち歩いているとは思いましたよ、これ塗ると気持ちイイんですよね」
「ちょっと、やめなさいッ、本当に怒るわよっ!」

 ミサトは加持との仲を間接的に指摘するシンジの言葉への恥ずかしさと、制止を無視して自分の身体を弄ぼうとするシンジの行為への怒りに顔を赤らめた。シンジは険しい表情で制止しようとするミサトに近付くと、両手についたジェルのヌメりをミサトの両の乳房のふくらみにゆっくりと撫で付け始める。掌の下でふくらみの中に沈み込む濃いピンクの突起は、シンジの掌とジェルの刺激で次第に固く立ち上がり始める。

「やめてッてば!」

 声を震わせて制止し続けるミサトを無視して、シンジはまるで何かに憑かれたように薄笑いを浮かべながらミサトの腰の上に跨ってふくらみを捏ね続ける。彼の両方の親指が左右の突起を捉えてグリグリと押し込むような動きをすると、自分の感度の高い部分を攻められたミサトはつい甘い声を漏らしてしまう。

「あン・・・」
「ミサトさん、ここがイイんでしょ」

 シンジは捏ねていた両手で左右の乳房を寄せると、舌の表面で左、右と交互に大きく勃起した乳首を愛撫する。腰を揺すって彼を振り落とそうと抵抗を試みたミサトだが、逆にその動きで掴まれている胸に余計に力が加わる上に、食い込んだスキャンティが股間の敏感な部分を刺激して、どうにも意図とは逆の結果にしかならない。

「シンジ君、こんな事して私が喜ぶと思ってるの?」
「もう、濡れてるクセに」
「イヤらしいッ、アンタ最低の事をしてるのよ」
「そっちの都合で一方的に終わりましょうだなんて、そういうのは最低じゃないの?!」

 ああ、やっぱり先刻の彼への接し方がマズかったんだとミサトは後悔したが、だからと言ってレイプまがいの行為を肯定する訳にはいかない。彼女は険しい表情を和らげて何とかシンジを説得しようとする。

「ごめんなさい、私の言い方が悪かったわ、だから・・・ああッ!いやッ」

 シンジが乳首に歯を立てた途端にミサトの表情が歓喜に歪む。左、そして右と前歯で挟んだ乳首のしこりを前後にシゴくと、ミサトは思わず背中を弓に反らせる。シンジはひとしきり胸を愛撫すると舌を臍まで這わせ、そしてスキャンティの上から彼女の股間に顔を埋める。

「お願いだから、シンジ君、もうやめてちょだい・・・」

 これ以上シンジにされたら、体が彼を拒めなくなる。スキャンティ越しに舌で扉の中に隠れている女のポイントを的確に突いてくるシンジの行動には、あの夜の未熟な彼の姿は感じられない。手慣れた大人の男そのものの行為にはミサトの体は勝てない。彼女は精一杯の抵抗で腰を跳ね上げようとした。後方にひっくり返りそうになったシンジは目付きを鋭く変えるとミサトの体に抱き付き、そして頬を胸に埋めながら、右手の指をスキャンティの脇から、もう潤み出して口を開けている内側の扉の中に這わせた。

「だめッ、ダメよ、シンジ君、こんなの・・・いけない、あうぅッ!」

 彼の右手の指が扉の中でポイントのしこりを捉えるのと同時に、左の指がスキャンティの上から、後の門の菊びらをコジるように押え付ける。その肉体的な快感と自由を奪われた状態で後までイジられているという背徳感が、ミサトの心理的な壁を突き崩していく。それぞれの指が前後の門の底に沈むと、彼女は全身を震わせた。

「シンジ君てば、それッ、イヤらしいッ・・・いいッ!」
「いやらしいのはミサトさんだね、こんなものまで用意してたなんて」

 シンジは仰け反る彼女の喉元にキスをしながら体を下にずらすと、潤みで重く湿った紫色のスキャンティの股布を脇にグイッと引っ張って、ベトベトになった茂みから秘唇を半分露出させた。そして十分にイキリたっている分身を、ポッテリと膨らんだくすんだ陰唇の中に当てうと躊躇なく一気に突き立てる。

「そんな、全部入れちゃ・・・あゥ!」

 間髪を入れず後の門に、ミサトが気を失っている間に私室内のロッカーから見つけ出した白いラバー製の電池仕掛けの「おもちゃ」を、やはりスキャンティの股布をめくってシンジの片手が押し込む。ゴルフボールよりやや小さな、ディンプルの代りにイボの突起したそれは、小さな振動音を立てながら菊びらの中に潜っていった。

「こ、コレッ・・・イヤぁぁぁ!」

 シンジやアスカを同居させたことで、マンションに置いておくのをためらった彼女は私室だと油断して無造作にしまっておいたことを悔いたが、そんな器具を持っていたという恥ずかしさが一層感度を高める。

「おおッ、そんな所から入れるなんて・・・アッ、ああッ!」
「気持ちッ、イイでしょ・・・」
「動いてッ、もっと動いてッ!ああンッ!」

 女芯にシンジを捉え、後に器具をくわえ、股間から尻にスキャンティを食い込ませた状態で手足は思うにならない。体を激しく震わせようにも自由の効かない状態で、ミサトは上り詰める興奮を逃す事が出来ずに胴の幹だけでそれを受け止め、そして早くもシンジの何度目かの律動の後に辺りはばからずに絶叫した。

「ダメッ!もう、イクッ!ひィィィッ」

 全身が突っ張った瞬間、ミサトはプツッと股間で何かが弾けたような気がした。突き立てているシンジの下腹部に向かってよじれたスキャンティの脇から滴が飛ぶ。あまりの興奮に、彼女は汐を吹いてしまったのだ。シンジは精を吐き尽くすと、それをミサトの体から抜き、彼女の腰の上に跨って中腰で見下ろす。ミサトにとっては屈辱的なセックス。しかし味わったことの無い行為に体が参ってしまった現実は否定出来ない。尻にまだ埋められたものの振動に陰裂全体を時折痙攣させながら、彼女はシンジを自分の都合で軽く見ていたことを後悔する。

「気が済んだ?シンジ君・・・」
「ボクなしでミサトさんが我慢出来るなら、もう終われると思うよ、じゃあ行くから」

 シンジはニヤニヤと薄笑いを浮かべながら、ミサトの手を縛っているベルトを少し緩める。ミサトの顔の前にあるシンジの分身はまだ半分ほどの硬直を残しながら、テラテラと潤みに輝いた。

「誰なの、あんた・・・本当にシンジ君なの?」

 ミサトの前に立ち大した捨てゼリフを吐いてのける少年は今までのシンジとは別人だ。興奮から覚めていくミサトは、本能的な戦慄を覚えて鳥肌を立てる。シンジは完全に彼女を自由にしようとはせずに自分の脱いだものを手にまとめるとミサトの私室を出て行く。

「ちょっと、ちゃんと外してよ」
「許したような顔をして蹴り倒されたらイヤだもの、ゆっくりと自分で外しなよ、じゃあね」
 
 何かとんでもないものが覚醒してしまったかもしれない。ミサトはまだ後の粘膜を小刻みに刺激し続けるものに顔をしかめながら、シンジに対する安易な行動を悔いるしかなかった。

 


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