作 / Sa−toshi ・ 画 / 森里 涼


マヤ・続、想い出の夏休み 〜 藍の海・哀のうみ・アイの海


 台風一過の青い空が遥かに広がる静かなその海岸は所々に小さな浜が点在している以外には背後の、かつて程の高さは失われたとはいえ荒々しい岩壁から続く大小の岩場と入り込んだ潮溜りが続いている。セカンドインパクトによる海面上昇で消失したその海岸線の一部を人為的に復元したレクリエーションゾーン。岩場に囲まれている浜辺の淡い黄褐色をした砂浜の上に今並んで腰を降ろし、沖まで続く冷たい藍色をした間もなく夕暮れも近い日本海を眺めているそれぞれピンクとオレンジの水着を着けた2人の少女。

「もう、夏休み終わっちゃうね」
「うん」

 弾まぬ会話を挟みながら静かにたたずむのは、信州の親類宅から帰途についた伊吹マヤとその友達の加賀ミキである。

「マヤは国立受験するの?」
「そのつもり」
「じゃあ、のんびりしていられるのはホントにこの夏だけなんだね」

 2人の学校では高校2年の夏休みが終わり新学期が始まると、難関校を目指す生徒は一部の共通科目を除いて別コースで授業を受けるようになる。付属校生徒の特権として可も無く不可も無い成績を収めて無難に系列の大学に持ち上がる予定のミキと、外部の大学を受験するマヤは、秋から学校生活のサイクルが変わってしまう。ミキの声が心無しか寂しい。

「別に同じクラスのままだし、そんなに急に受験モードに切り替わる訳じゃないわ、ミキとだって今までどおりに遊べるわよ」
「でもさ、来年の夏はもう講習漬けでしょ、本当にこれが高校最後の夏休みらしい夏だと思うと寂しいな…」

 そう言いながら砂を突いていたミキの右手の指先が、同じくマヤの左手の指に遠慮がちに絡むとマヤはハッとしてその自分の手を引いた。ジッと彼女を見つめているミキの視線を直視出来ずに下を向くマヤ。

「ゴ、ごめん…だって、私たちこんな格好だし」

 親類宅を発ったその日の夜、日本の沿岸に向けて接近していた台風の進路が急に変わった。最後の夏休みの思いに浸るために真っ直ぐ帰る予定を変えて日本海を見るために遠回りした2人は、セカンドインパクトと偶発的ミサイル攻撃で痛手を受けた首都の遷都先として生まれ変わりつつあった第2新東京市、元の松本市で足止めされた。そしてこの日の朝、ここ越前海岸に来る前に開いたばかりのデパートで、ミキの勧めで思い切って買ったパステルピンクに黄色の模様があしらわれたいささか大胆なカットのワンピースの水着にマヤは身を包んでいた。8月の終わりの平日の午後。幹線道路から離れたこの海岸には人気がなく、周囲を岩場に囲まれた中でセパレートの水着のミキと2人きりという状況に、マヤは数日前の突発的な親友の行動をつい思い出してしまったのだ。

「あんなこと、するんじゃなかったよね…アタシどうかしてたんだ」
「あ、あのことは…気にしてないから」
「アタシ、ずっと友達していイイよね、マヤ」
「当り前じゃないの、ミキッたら」

 傾く太陽に照らされて長く影を引く2人。陰ったミキの表情に、マヤもつい胸が締め付けられて目元に涙が込み上げてきた。あまりにも自分を大切に思ってくれているからこそ、あの夜は刹那的な行為に及んでしまったのかもしれない。マヤはそれ以前に受けたケダモノたちの行為とミキのそれを心の中で混同したことを後悔する。純粋だからこそ、性差を越えてひとつになりたいと思うことがあるのかもしれない。マヤは親友の顔を微笑みながら見つめた。

「ゴメン、何か湿っぽくなっちゃったね…」
「うん」
「喉渇いちゃったナ、何か買って来るから待ってて」

 マヤにつられて貰い泣きしそうになったミキは、サッと立ち上がるとオレンジ色のセパレートのボトムに包まれた上向きの形の良い尻のあたりをパタパタと叩いて砂をはらうと、砂浜の背後の遊歩道に続く階段に向かって駆けて行った。バス停のある駐車場や売店、更衣室はその遊歩道の先、浜辺からはやや離れた崖の上にあった。

「夏の思い出、かぁ…来年はもう18になっちゃうんだな」

 青い空の西の方が、傾き続ける太陽と薄く染料を流したような雲とで次第に金色に輝き始める中で、マヤはここ数日の出来事を反芻する。心と体にとって激動ともいえるこの数ヶ月の決算も言えそうな17歳の夏休みにそんなつぶやきを洩らしたマヤ。彼女は立ち上がり、太陽に向かって胸を突き出すようにグッと背伸びをする。ピンクのハイレグカットのワンピースに包まれた、伸びやかな若い肢体が、緩くきれいなカーブを描く。

「きれいな海」

 セカンドインパクト以前、幼少の頃に家族連れで湘南や房総の海に出掛けた記憶はあるが、物心ついてからの彼女は海に出掛けたことがなかった。都会の喧騒がそのまま移動してきたかのようなかつての海辺の記憶とは全く違う、目の前に広がる静かで美しい藍色の日本海。幾つかの岩礁によって外海の波の力が弱められた小さな入り江の中の波打ち際で、マヤはその感動を口にしながら体を清めるかのごとくゆっくりと爪先を浸してパシャパシャと両手で海水を体に掛ける。潮の香りを含むその水は、色のイメージとは異なりさほど冷たくはなかった。

「ん?…」

 弱い風が頭の上で巻き、背後の崖から吹き返してきた時。マヤは潮騒に混じって人の声を聞いたような気がした。てっきりミキと2人だけしかいないと思っていたこの浜に他に誰かいるのだろうか。マヤは浅瀬から腰を上げると浜に上がり、吹き返しの風上の方に向かってゆっくりと歩いて行った。

■■■

 マヤの前に大人の背丈よりも高い奇岩がいくつかあった。いつもならばそこでやめていたかもしれないが、その日は他に誰かがいるかもしれないということが何故か気になったマヤは、その奇岩に手足を掛けてよじ登っていた。ミキと2人のプライベートビーチのような気分を壊されたくない、そんな思いが行動に出たのだろうか。そして小さな瀬を隔てて視界を遮るもうひとつの岩の上端からそっと頭を出して開けた彼女の視野に入ってきたのは、同じように自分たちだけの世界を楽しむ、生々しい男と女のムキ出しの欲望の姿だった。

「んむぅ、はン!」

 クチャクチャと唾液を絡ませ合うような濃密なキスをしながら、崖を背に立ったままの男の腰に抱えられて、腰までありそうな濡れた長い黒髪の女が鼻から抜けるように喘いでいる。不規則に揺れる2人の体。男は右腕で女の背中を抱き、左の掌は着けたままのビキニのブラを托し上げられた女の白い乳房を荒っぽく捏ね回している。

「フン、フンッ!」
「あッ、あうッ!」

 時々、唇を離して男が息を荒げながら腰を上に突き上げると、女の裏返った声が響いた。すでにビキニのボトムはどこかに脱ぎ捨てられたのか、丸出しになった尻を男の腰の上に乗せている女は突き上げられると、タップリとした尻肉を震わせる。その両足は爪先を崖に掛けて左右に開かれて男の体を挟み込んでいる。

「やだッ…あんなコト」

 マヤはいきなり眼前に飛び込んできた生々しい光景に息を呑み、一瞬全身が凍り付いたように動かなくなる。その時、彼女の視線が真向かいの男の目と合った。

「えッ」

 ハッとして体を引っ込めたマヤには、その男の目が笑っていたように思えた。明らかに気付かれたのかも知れない。岩場から浜に降りたマヤは岩場に向かって体を寄り添わせながら緊張と、その光景を嫌悪しようとする心とは裏腹の本能的な興奮でその場に動けなくなってしまう。

「あんなところで、あんなコトしてるなんてッ…不潔!」

 嫌悪と興奮に鳥肌を立てるマヤは目を硬く閉じながら、拒絶の言葉を吐く。しかし閉じた瞳の奥に鮮明に蘇るその光景はあまりにも生々しすぎてなかなか消えてはくれない。それどころか彼女の目には見えなかったはずの、男の腰に乗った女の尻肉の間に突き立てられていた彼のイチモツが女の体の中で震える光景を想像してしまうマヤは、体をカタカタと小刻みに震わせて全身を紅潮させてしまう。

「イヤ、イヤッ」

 鳥肌立った瞬間にキュッと血が集まって、薄手の水着の生地に包まれたなだらかな胸のボリュームの上に尖り立った乳首は拒絶の言葉と共にその記憶を振り払おうとするマヤの意志に反して、貼り付けられたニプレスを押し上げて苛立たしいような甘い感覚を返す。そしてピッタリとハイレグカットが食い込んでいる下腹部の柔らかなふくらみの底でも、モジモジとジレるようなものが背筋を這い登り、彼女の脳髄に刺激を伝え始める。7月に17歳になったばかりの彼女の体は、自分が思っているよりも遥かに早くおんなとしての感受性を開花させていた。少女の純情はそれを必死に押し止めようとする。

「あんなことがあったのに、マヤッ、ダメ…」

 満員電車での出来事、そしてバイト先での出来事、彼女の体は決してそれを忘却してしまった訳ではない。マヤはその忌まわしい行為の記憶で、自分の体の熱を冷まそうとした。だが、今日に限ってはそれは全く逆効果だった。

「くッ、熱い…変な気持ち」

 全身の血流は激しさを増し、耳の奥でゴウゴウと音を立てている。突っ張る両足の付け根、水着に締め付けられた股間の底に熱い感覚が広がろうとしている。岩を掴んでいた右手をマヤはハアハアと息を乱しながら無意識に自分の右胸に置き、生地の上から掌でニプレスを押し上げる尖りを押さえ付けた。

「はンッ」
「コォラ、なぁにオナっとんや?お姉ちゃん」

 右の乳房からジンと痺れが返ってきた途端、背後から関西訛りの男の声がマヤに浴びせられた。

「エッ!?」

 その声に頭から串刺しにされたような衝撃を受けたマヤは、そのままの体勢で全身を硬直させて動けなくなる。よりにもよってこんな状況を、それも男に見られるなんて…。

「お姉ちゃん、ワシのこと見てたやろ」
「…」
「ちゃあ〜んと知っとんのや、ココから覗いてたん」

 この男は、まさか今、この向うで事に及んでいた本人だというのか?マヤの心臓は口から飛び出しそうなくらいにバクバクと脈打つ。

「こっち見てみィ、この顔知らんとは言わせヘンで」
「あ、ジ、事故なんですッ…そのッ」

 男の声が近い。ほんの数歩も離れていないだろう。もちろんマヤはその男の顔を直視することなど出来るはずもなく、カタカタと小刻みに震えながら変に裏返った詰まった声でそう言ってしまってからシマッたと思った時にはもう遅かった。

「ふぅん、見てたんやなぁ…ホンデもって感じてしもうタっちゅう訳や、な?」
「うっ、うぅぅ…」

 偶然とはいえ覗き見たことを自分から認めてしまったマヤは恥ずかしさと、どうしていいのかわからない混乱した意識で泣き出しそうになる。体の方はおんなに大きく近付いても、心はまだ少女の幼さのままのマヤに、この状況を切り抜けられるだけのしぶとさは無い。しかも少女にはあまりに過酷な3度目の試練が、彼女の背中に待ち受けていた。

■■■

「泣かんでもエエ、なぁ?」

 そう言う男の声は優しそうだが、どこか楽しそうな響きをはっきりとマヤの耳に伝えて来た。そしての片手の指先がマヤの水を含んだ黒いセミショートの後髪に絡んで来た。

「やぁッ!ヤダッ!」

 ビクッと体を縮みあがらせたマヤが、その手を退けるようにクルッと後を向く。涙目にぼやけてはいたが、メッシュの入った髪をオールバックにしたその男は、この岩の向うで女を腰の上に乗せてさっきまで情欲を貪っていた男に間違いない。マヤは驚愕に両目を見開いて両手で口元を押さえながら、大きく頭を左右に振る。

「ワシが、もっと気持ち良くしてやろうッちゅうんヤ、な!」

 払い退けた男の右手が再び彼女の左の肩に掛かった。視線を落としたマヤの目に、派手な柄模様のビキニパンツの真ん中でムックリと膨張している男の下腹部が入った。それは今にも生地から弾け出すのではないかというくらいに大きく盛り上がっている。それと、さっきの女を腰に乗せていた光景とが彼女の頭の中でダブった。

(犯られちゃうッ!)

 マヤは男の脇を擦り抜けて逃げようとした。すぐに男の手が背後から彼女の肩を掴む。彼女は小さな瀬の中に小さな水しぶきを上げながらもんどり打って前のめりに倒れ込んだ。

「逃がさへんデ」
「いやッ」
「こんなに乳の先おっ立てて、何がイヤなんじゃ!」

 優しそうな声から、どこかフザケたような卑らしい声に変わった途端に、男の両手が後からマヤの胸のふくらみを掴む。慣れた手付きで水着の上から揉み立てる大きな男の手。両方のふくらみの先でずっと硬く尖っていたところを、その太い親指と人差し指とがクリッと摘み、指の腹で転がす。

「あぁン、いやあッ!」

 以前の時に比べて、凌辱されているという変らぬ状況にもかかわらず、自分の体が甘美な反応を示し出している自分の体にマヤは困惑した。声を上げながら行為を拒み、背中にしがみ付く男を払おうとするのだが、思ったように力が出ない。それどころか心の奥からは行為を期待しているようなざわめきすら聞こえるような気がする。

(イケナイことされてるのよ、マヤ!)

 その心の雑音に喝を入れるマヤの乙女心。ましてやここは密室の中ではない、解放された浜辺である。人気がないとはいえ誰が見ているのかも知れない。そもそもこの男と一緒にいた女は…?

「いやよッ、女の人がいるクセにッ!」
「しっかり見てるやないか、アイツはイッてもうて向うでおネンネしとるワ」
「不潔ッ!」
「もしも、見られてると思うと恥ずかしくて燃えてくるやろッ」

 まさにこの男の言うとおりだった。その不安が故にドキドキとしたスリルと羞恥心が、彼女の全身の血流をかき乱す。

「ほーれ、ホレ」

 マヤの着けていたワンピースの水着には肩紐が無かった。男の両手は彼女の水着の胸元をグイッと引き下げてしまうと、そこからこぼれ出た、まだ固く張り詰めた両の乳房を掌で包み込むように寄せたり揉み込んだりしながら先端を隠していたニプレスを剥がし、人差し指の先で押したり弾いたりして弄ぶ。

「あぁ、いやァァ…」

 足首が浸るほどの瀬の中で四つん這いにされ、背後から凌辱されるマヤの声からトゲトゲしさが消えて、鼻に掛かるような甲高い裏声に変る。両胸から背筋を経て下腹部へと広がる甘い痺れに彼女は両肘を水の底に突き、何度も頭を左右に振って反応する。

「カワイイけど感度のええオッパイや…ごっつええ感じやで」
「そんなに…先ばっかり、虐めないでェ」

 執拗な乳首への愛撫に、マヤは痛みを感じて悲鳴を上げる。しかしおかげで開いて膝を突いた両ももの付け根に食い込んだ水着の下のおんなの芯からは、自分でもはっきりとわかるくらいに濃く熱いものが、その口に満ち出している。

「はぁ、お姉ちゃん処女やろ、ええ匂いやな」

 年格好からそう見えるのだろう。男は髪に鼻面を埋めてそう言った。まさかこの可憐な少女がすでに前門どころか後門までも食い漁られてしまっているとは想像も出来ないに違いない。そしてその「処女」という言葉がマヤの理性を呼び覚まし、最後の抵抗を試みさせる。まだ彼女は、彼女自身に生身の男を受け入れてはいない。その意味で自分の砦を守ろうとしたのだ。

「もうココ、ヌルヌルちゃうか?」

 男の片手が臍の辺りからその下の恥丘のふくらみの上に水着越しに這い降りる。海水に濡れた生地に染み出しているかもしれない熱いモノを男の手で探られる…マヤの羞恥心がそれを避けようと男の体の下から這い出そうと手足に力を込めさせる。

「ダメぇぇッ…」

 半身だけ前に進んだところで、その抵抗はあっけなく潰された。男の手に捕らえられたマヤは、仰向けに返されて浅瀬に押さえ付けられる。

「いい加減、カンネンしたらどうや…ホンマ気持ちええクセしてぇ」

 そう言いながらバシャバシャとしばしの抵抗を制圧した男の下に、体の背中半分を水に浸けて、男の腰で股を割られたマヤの体がある。夕暮れ時を迎えた淡い黄金色の陽光に染められた、上を向いた剥き出しの乳房の先の紅葉色の乳首を男はピチャピチャと唾液を絡めて舐め回した。

「塩味が効いとる、オイシ…」
「あぁぁ、やめてぇェェェ」

 理性が潮に溶けて流れ去るように、悲鳴とも歓喜ともつかぬ声を洩らすマヤ。男の唇や舌がそこをついばむ度に、下腹部の底に染み出すおんなの証が激しさを増して来る。マヤの体は17歳の乙女心とは裏腹にすっかりおんなに染まりきっていた。

■■■

「お姉ちゃんも結構イヤらしいなぁ、もう、グチャグチャやないかいな」

 その言葉の通りに卑しい響きで言いながら男の右手が水着の股布の脇から、その中に忍び込む。指先が恥丘の湿気ったヘアの中を弄りながら、ふっくらとした芯門の中に割り込んだ。海水の湿りとは違うベットリとした温かいものが指先に絡む。その指の腹が、門の上端の芽を潤みに塗れさせるように捏ね付けると、感電するかのような激しい刺激がマヤの脊髄を駆け巡った。

「ひあ゛ぁぁッ!」

 そうすることが一番強い痺れをもらたすことは過去の辱めでも、ひとり戯びでも知っていたが、腹筋までが引き攣れるような激しい刺激は今まで感じたことがない。マヤは思わず背筋を弓なりにして声を上げる。その反応を楽しむかのように男は何度かそこを指で攻め、マヤはその度に体全体を左右に振って叫んだ。もう、そこが屋外であることなどは彼女の意識の中からは消し飛んでしまっている。

「カワイイなぁ、こんなことでヨガリ倒すなんてェ」
「もうッ、もうしないでェ…」
「ほな、フィニッシュいこか?」

 男はパンツを膝の上まで降ろすと、既に1度済ませているのに青黒く膨張してカリ首の辺りまで先走りをヌメらせた巨砲を右手で握る。そして左手でマヤの股間に切れ込んでいる水着の細い股布をより大きく引っ張って突入路を確保し、脇からまだ内扉も小さなその芯門に握ったものを押し当てた。

「イヤッ、いやぁッ!」
「中に出すようなヘマはせんて、クゥッ!堪らんなぁ、この一瞬」
「イッ…あうゥッ!んあぁぁ…」

 扉を左右に割りながら、熱せられた鋼の心棒のようなものが体の中に押し入って来る。マヤは大きく仰け反り白い喉を震わせた。既に模造品で最初の破爪は経験したとはいえ、それは中途半端に入れられただけだったし、何よりこんなに大きなものではなかった。潤んだ内壁にねじ込まれるその痛みとも快感ともつかぬものに、マヤの頭の中は真っ白になった。

「締まるっ、エエ感じヤッ!オオッ…」
「!!…」
「ウッ、イクでッ、ウウッ!」

 男の歓喜の声が頭の遠くに聞こえる。埋め込まれたものが前後左右に暴れる度に、全身の血流が暴走と停止を繰り返し、そのすぐ近くの感じ易い芽と乳首に集まった血が皮膚を突き破って吹き出るのではないかというくらいにキリキリと痺れる。自分でも何をどのくらい叫んでいるのかもう、わからない。しばらくして埋め込まれていたものが一気に引き抜かれ、男の短いうめきが聞こえた。マヤはその瞬間、意識が遠くなり、股間が緩んで生暖かいものが流れ出る感覚を覚える。彼女は失禁していたのだった。

「ははッ水着汚してしもうた、堪忍な…もっとも、お姉ちゃんも洩らしとるようやけどなぁ」

 男の白濁したものが、マヤのピンク色の水着の臍の下からはだけた胸の下の辺りまで点々と弾け飛んで、まるで練乳をこぼしたようだ。彼女の股間からは股布を透かして瀬に溜まった海水の中にチョロチョロと淡く香るものが流れ出ている。もっとも男の言葉が今のマヤには聞こえない。

「じゃ、俺は行くから、もう覗きはやめときや」

 自分の体が男を受け入れてしまった…。そして本当におんなとして感じてしまった…。時間にすれば、ほんの10分か20分もしないこの間が、マヤにとってはあっと言う間に何年も経ってしまったかのような気がした。まだ17歳の少女でいたいと思っていたのに、とうとう体ばかりが大人になってしまった。今、体の発した最後の叫びは悲鳴ではなく歓喜だった。電車の時もバイトの時も部分的な快感は拒否出来なくても最後には激しい嫌悪感で体が泣いていたのに…。

「ホントは淫乱なのかな…あたし」

 西の空の黄金色は次第に空の青さを侵蝕して全体へと広がっていく。波の音に正気を取り戻したマヤは、哀しげにそうつぶやくとゆっくりと上体を起こして立ち上がる。そして水着を脱ぎ捨てると全裸になって瀬の中ほどまで歩き、今、男を受け入れた下腹部の辺りまで藍色の海に浸しながら金色の太陽を眺める彼女。

「マヤぁ、ごめーん!ちょっとウチに電話してたら長くなっちゃって…」

 缶ジュースを抱えたミキが戻ってきた。ゆっくりと振り返る全裸のマヤにビクッと立ち止まるミキ。

「マヤ、どうしたの?そんな大胆な格好して…」
「ミキ…」

 17歳の乙女心が大きく振れて、マヤはそのままミキのところに駆け寄ると、驚く彼女のことなど構わずに彼女の唇に自分の唇を重ねていた。自分の体は淫乱なんかじゃない!本当に心の許せる相手のために捧げるもの。自分の体のおんなの目覚めがこんな形でなんて許せない!

「マ…!?」
「私の体、ミキにあげたいッ!」
「な?!、何を…」

 狼狽するミキをその場に押し倒したマヤは彼女の体を強く抱きしめて、そのまま貪るように彼女の唇を求め続けた。マヤの中で清らかなるものへの和合と、汚れたものへの侮蔑の意識がこの日この時、はっきりと根を降ろしたのだった。

■■■

想い出の夏休み/続、想い出の夏休み 完



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